職場・施設形態

児童養護施設・乳児院で働く保育士の仕事内容・勤務形態・やりがいと大変さ

更新日:2026/09/08 読了目安:約8分 執筆:保育リーチ キャリアアドバイザー

児童養護施設・乳児院で働く保育士の仕事内容と1日の流れ、宿直・夜勤を含む勤務形態、給料の傾向を転職アドバイザーが解説。生活を共にする支援ならではのやりがいと大変さ、向いている人、求人票で確認したい点まで分かります。

児童養護施設や乳児院は、家庭で暮らすことが難しい子どもたちが生活する施設です。保育士は「保育」というより「生活を共にする大人」として、子どもの日常と育ちを支えます。保育園とはまったく違う働き方になるため、「宿直ってどんな勤務?」「保育士の経験は活かせる?」「精神的に大変では?」という相談をよく受けます。この記事では、両施設の役割と特徴、仕事内容と1日の流れ、勤務形態、給料の傾向、やりがいと大変さ、向いている人、求人の探し方を整理しました。

児童養護施設・乳児院とは|施設の特徴と役割

どちらも児童福祉法に基づく児童福祉施設(社会的養護)で、保護者の病気や経済的事情、虐待などにより家庭で養育できない子どもを、児童相談所の措置によって受け入れます。

項目乳児院児童養護施設
対象原則0〜2歳(必要に応じて就学前まで)原則2歳〜18歳(必要に応じて22歳まで)
定員数名〜数十名20〜100名程度
生活の形少人数の養育単位で家庭的に大舎制から小規模グループケア、地域小規模施設(グループホーム)へ移行が進む
主な職員看護師、保育士、児童指導員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、栄養士児童指導員、保育士、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、個別対応職員、里親支援専門相談員
運営主体社会福祉法人が大半社会福祉法人が大半

職員配置は国の最低基準で子どもの年齢ごとに定められており、乳児院では乳幼児おおむね1.6人に1人、児童養護施設では2歳未満1.6人に1人、幼児4人に1人、小学生以上5.5人に1人などが目安です。実際は小規模化に伴う加算で、より手厚い配置をする施設が増えています。近年は「家庭養育優先」の方針のもと、里親支援や地域の子育て支援も施設の役割に加わっています。

児童養護施設・乳児院の保育士の仕事内容と1日の流れ

保育士の役割は「生活そのものを支える」ことです。子どもの年齢によって内容は変わりますが、共通するのは次の業務です。

  • 生活の援助:起床・就寝、食事、入浴、着替え、排泄、掃除・洗濯、持ち物の管理。乳児院ではミルク・離乳食・沐浴など保育園の乳児保育に近い援助が中心
  • 学習・登園の支援:児童養護施設では小中高生の登校準備、宿題の見守り、保育園や幼稚園への送迎、学校行事への参加
  • 心のケア:愛着形成、行動上の課題への対応、心理職と連携したケア。虐待経験のある子どもの「試し行動」や「赤ちゃん返り」への理解が欠かせません
  • 書類:日誌、ケース記録、自立支援計画(児童指導員や家庭支援専門相談員と協働)、児童相談所への報告
  • 家族との関係:面会や外泊の調整、家庭復帰に向けた支援。保護者対応は保育園とは質が異なり、慎重さが求められます
  • 行事・季節の活動:誕生日、クリスマス、お正月、キャンプ、地域行事。「家庭らしい」記憶をつくることが目的で、保育園の発表会のような準備はありません
  • 通院・関係機関との連携:医療機関、学校、児童相談所、里親との連携
時間児童養護施設(小規模グループケア)の例
6:00早番出勤(または宿直明け)。起床の声かけ、朝食準備
7:00〜8:30朝食、登校・登園の見送り
9:00〜13:00掃除・洗濯・買い物、幼児の保育、記録、会議、通院付き添い。日勤者の中休み
14:00〜16:00遅番出勤。小学生の帰宅、おやつ、宿題
17:00〜19:00夕食準備、夕食、入浴
20:00〜22:00自由時間、就寝の声かけ。日勤・遅番退勤、宿直へ引き継ぎ
22:00〜6:00宿直(仮眠あり)。夜間の見守り、体調不良や不安への対応

勤務は「早番・日勤・遅番・宿直(または夜勤)」を組み合わせた変則シフトで、施設によっては「断続勤務(朝と夕方に勤務し、日中は中抜け)」もあります。宿直は月に数回〜週1回程度で、宿直手当が付きます。乳児院は24時間の交代制(夜勤)が基本です。

アドバイザーのひとこと 児童養護施設は「子どもと長期的な関係を築けるか」が働きがいの中心です。だからこそ職員の入れ替わりが激しい施設では、子どもも職員も安定しません。面接では「平均勤続年数」と「新任職員の育成(スーパービジョン)の仕組み」を聞いてみてください。丁寧に答えてくれる施設は、職員を大切にしている可能性が高いです。

児童養護施設・乳児院の給料の傾向

保育リーチに掲載中の児童養護施設・乳児院の求人(35件)の平均月給は約21.5万円万円です。措置費で運営され、社会福祉法人の給与規定(多くは国家公務員の福祉職俸給表に準拠)が適用されるため、保育園より基本給の水準が高く、年功で着実に昇給する傾向があります。

  • 手当:宿直手当・夜勤手当・特殊業務手当などが加わり、月給ベースで保育園を上回ることが多い
  • 賞与:年2回・計4か月分前後の施設が多く、年収では保育園より高めになる傾向
  • 福利厚生:社会福祉法人のため退職共済や住宅手当が整っている施設が多い
  • 役職:基幹的職員、主任、家庭支援専門相談員、施設長へのキャリアがあり、研修体系も整備されています

児童養護施設・乳児院に向いている人・メリット・デメリット|やりがいと大変さ

やりがい・メリット

  • 子どもの人生に長期的に関わり、「家庭」の役割を担う深い関係を築ける
  • 発表会や壁面装飾のような準備業務がなく、持ち帰り仕事はほぼない
  • 基本給・賞与・福利厚生が保育園より手厚い傾向
  • 心理職・看護師・相談員などと協働し、専門性を高められる
  • 職員配置の充実で、日中は少人数と丁寧に関われる

大変さ・デメリット

  • 宿直や変則シフトで生活リズムが不規則になり、家庭との両立が難しい面がある
  • 虐待経験による行動上の課題や試し行動への対応で、精神的な負担が大きい
  • 子どもとの別れ(家庭復帰、里親委託、退所)が繰り返される
  • 学校・児童相談所・家族など関係機関との調整が多く、責任が重い
  • 保育園と比べて求人数が少なく、経験者や社会福祉士などを優先する施設もある

子どもの生活全体に関わりたい人、長期的な関係を築くことにやりがいを感じる人、心理や福祉の知識を学び続けたい人、変則勤務に対応できる人に向いています。決まった時間で働きたい人や、行事や製作など保育らしい活動を大切にしたい人は、保育園や乳児院の日勤パートなど別の選択肢も検討してください。

児童養護施設・乳児院の求人の探し方と見極めポイント

  1. 施設の形態:大舎制か小規模グループケアか、地域小規模施設(グループホーム)か。小規模ほど家庭的ですが、職員1人の裁量と責任が大きくなります。
  2. 勤務形態:宿直か夜勤か、断続勤務の有無、月の宿直回数、明け休みの扱い。
  3. 育成体制:新任研修、先輩職員の指導、スーパービジョンの有無。
  4. 専門職の配置:心理療法担当職員、看護師、家庭支援専門相談員が常勤か。
  5. 職員の定着:平均勤続年数と直近の退職者数。
  6. 応募の準備:志望動機では「なぜ社会的養護なのか」を、保育園での経験(配慮が必要な子や家庭との関わり)と結びつけて語れるようにします。ボランティアや実習の経験があれば必ず伝えましょう。

よくある質問

Q. 保育園の経験しかなくても児童養護施設で働けますか?

働けます。保育士資格は児童養護施設・乳児院の配置に数えられる資格で、乳児院では保育園の乳児保育の経験がそのまま活きます。児童養護施設では小中高生との関わりが加わるため、面接で「年長の子どもとどう向き合いたいか」を話せるよう準備しておくと安心です。

Q. 宿直と夜勤は何が違いますか?

宿直は主に施設に泊まり込んで見守る勤務で、仮眠時間が設けられ、宿直手当が付きます。夜勤は夜間を通して業務を行う勤務で、乳児院のように夜間も継続的な援助が必要な施設で採用されます。どちらの形か、月の回数、翌日の扱いを求人票と面接で確認してください。

Q. 児童養護施設の保育士は結婚や子育てと両立できますか?

変則勤務のため難しさはありますが、日勤中心の配置転換、時短勤務、宿直免除などの制度を設けている施設は増えています。産休・育休の取得実績と復帰後の働き方の前例を面接で確認しましょう。

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タグ:児童養護施設 残業 給料

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