児童養護施設・乳児院で働く保育士の仕事内容・勤務形態・やりがいと大変さ
児童養護施設・乳児院で働く保育士の仕事内容と1日の流れ、宿直・夜勤を含む勤務形態、給料の傾向を転職アドバイザーが解説。生活を共にする支援ならではのやりがいと大変さ、向いている人、求人票で確認したい点まで分かります。
児童養護施設や乳児院は、家庭で暮らすことが難しい子どもたちが生活する施設です。保育士は「保育」というより「生活を共にする大人」として、子どもの日常と育ちを支えます。保育園とはまったく違う働き方になるため、「宿直ってどんな勤務?」「保育士の経験は活かせる?」「精神的に大変では?」という相談をよく受けます。この記事では、両施設の役割と特徴、仕事内容と1日の流れ、勤務形態、給料の傾向、やりがいと大変さ、向いている人、求人の探し方を整理しました。
児童養護施設・乳児院とは|施設の特徴と役割
どちらも児童福祉法に基づく児童福祉施設(社会的養護)で、保護者の病気や経済的事情、虐待などにより家庭で養育できない子どもを、児童相談所の措置によって受け入れます。
| 項目 | 乳児院 | 児童養護施設 |
|---|---|---|
| 対象 | 原則0〜2歳(必要に応じて就学前まで) | 原則2歳〜18歳(必要に応じて22歳まで) |
| 定員 | 数名〜数十名 | 20〜100名程度 |
| 生活の形 | 少人数の養育単位で家庭的に | 大舎制から小規模グループケア、地域小規模施設(グループホーム)へ移行が進む |
| 主な職員 | 看護師、保育士、児童指導員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、栄養士 | 児童指導員、保育士、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、個別対応職員、里親支援専門相談員 |
| 運営主体 | 社会福祉法人が大半 | 社会福祉法人が大半 |
職員配置は国の最低基準で子どもの年齢ごとに定められており、乳児院では乳幼児おおむね1.6人に1人、児童養護施設では2歳未満1.6人に1人、幼児4人に1人、小学生以上5.5人に1人などが目安です。実際は小規模化に伴う加算で、より手厚い配置をする施設が増えています。近年は「家庭養育優先」の方針のもと、里親支援や地域の子育て支援も施設の役割に加わっています。
児童養護施設・乳児院の保育士の仕事内容と1日の流れ
保育士の役割は「生活そのものを支える」ことです。子どもの年齢によって内容は変わりますが、共通するのは次の業務です。
- 生活の援助:起床・就寝、食事、入浴、着替え、排泄、掃除・洗濯、持ち物の管理。乳児院ではミルク・離乳食・沐浴など保育園の乳児保育に近い援助が中心
- 学習・登園の支援:児童養護施設では小中高生の登校準備、宿題の見守り、保育園や幼稚園への送迎、学校行事への参加
- 心のケア:愛着形成、行動上の課題への対応、心理職と連携したケア。虐待経験のある子どもの「試し行動」や「赤ちゃん返り」への理解が欠かせません
- 書類:日誌、ケース記録、自立支援計画(児童指導員や家庭支援専門相談員と協働)、児童相談所への報告
- 家族との関係:面会や外泊の調整、家庭復帰に向けた支援。保護者対応は保育園とは質が異なり、慎重さが求められます
- 行事・季節の活動:誕生日、クリスマス、お正月、キャンプ、地域行事。「家庭らしい」記憶をつくることが目的で、保育園の発表会のような準備はありません
- 通院・関係機関との連携:医療機関、学校、児童相談所、里親との連携
| 時間 | 児童養護施設(小規模グループケア)の例 |
|---|---|
| 6:00 | 早番出勤(または宿直明け)。起床の声かけ、朝食準備 |
| 7:00〜8:30 | 朝食、登校・登園の見送り |
| 9:00〜13:00 | 掃除・洗濯・買い物、幼児の保育、記録、会議、通院付き添い。日勤者の中休み |
| 14:00〜16:00 | 遅番出勤。小学生の帰宅、おやつ、宿題 |
| 17:00〜19:00 | 夕食準備、夕食、入浴 |
| 20:00〜22:00 | 自由時間、就寝の声かけ。日勤・遅番退勤、宿直へ引き継ぎ |
| 22:00〜6:00 | 宿直(仮眠あり)。夜間の見守り、体調不良や不安への対応 |
勤務は「早番・日勤・遅番・宿直(または夜勤)」を組み合わせた変則シフトで、施設によっては「断続勤務(朝と夕方に勤務し、日中は中抜け)」もあります。宿直は月に数回〜週1回程度で、宿直手当が付きます。乳児院は24時間の交代制(夜勤)が基本です。
アドバイザーのひとこと 児童養護施設は「子どもと長期的な関係を築けるか」が働きがいの中心です。だからこそ職員の入れ替わりが激しい施設では、子どもも職員も安定しません。面接では「平均勤続年数」と「新任職員の育成(スーパービジョン)の仕組み」を聞いてみてください。丁寧に答えてくれる施設は、職員を大切にしている可能性が高いです。
児童養護施設・乳児院の給料の傾向
保育リーチに掲載中の児童養護施設・乳児院の求人(35件)の平均月給は約21.5万円万円です。措置費で運営され、社会福祉法人の給与規定(多くは国家公務員の福祉職俸給表に準拠)が適用されるため、保育園より基本給の水準が高く、年功で着実に昇給する傾向があります。
- 手当:宿直手当・夜勤手当・特殊業務手当などが加わり、月給ベースで保育園を上回ることが多い
- 賞与:年2回・計4か月分前後の施設が多く、年収では保育園より高めになる傾向
- 福利厚生:社会福祉法人のため退職共済や住宅手当が整っている施設が多い
- 役職:基幹的職員、主任、家庭支援専門相談員、施設長へのキャリアがあり、研修体系も整備されています
児童養護施設・乳児院に向いている人・メリット・デメリット|やりがいと大変さ
やりがい・メリット
- 子どもの人生に長期的に関わり、「家庭」の役割を担う深い関係を築ける
- 発表会や壁面装飾のような準備業務がなく、持ち帰り仕事はほぼない
- 基本給・賞与・福利厚生が保育園より手厚い傾向
- 心理職・看護師・相談員などと協働し、専門性を高められる
- 職員配置の充実で、日中は少人数と丁寧に関われる
大変さ・デメリット
- 宿直や変則シフトで生活リズムが不規則になり、家庭との両立が難しい面がある
- 虐待経験による行動上の課題や試し行動への対応で、精神的な負担が大きい
- 子どもとの別れ(家庭復帰、里親委託、退所)が繰り返される
- 学校・児童相談所・家族など関係機関との調整が多く、責任が重い
- 保育園と比べて求人数が少なく、経験者や社会福祉士などを優先する施設もある
子どもの生活全体に関わりたい人、長期的な関係を築くことにやりがいを感じる人、心理や福祉の知識を学び続けたい人、変則勤務に対応できる人に向いています。決まった時間で働きたい人や、行事や製作など保育らしい活動を大切にしたい人は、保育園や乳児院の日勤パートなど別の選択肢も検討してください。
児童養護施設・乳児院の求人の探し方と見極めポイント
- 施設の形態:大舎制か小規模グループケアか、地域小規模施設(グループホーム)か。小規模ほど家庭的ですが、職員1人の裁量と責任が大きくなります。
- 勤務形態:宿直か夜勤か、断続勤務の有無、月の宿直回数、明け休みの扱い。
- 育成体制:新任研修、先輩職員の指導、スーパービジョンの有無。
- 専門職の配置:心理療法担当職員、看護師、家庭支援専門相談員が常勤か。
- 職員の定着:平均勤続年数と直近の退職者数。
- 応募の準備:志望動機では「なぜ社会的養護なのか」を、保育園での経験(配慮が必要な子や家庭との関わり)と結びつけて語れるようにします。ボランティアや実習の経験があれば必ず伝えましょう。
よくある質問
Q. 保育園の経験しかなくても児童養護施設で働けますか?
働けます。保育士資格は児童養護施設・乳児院の配置に数えられる資格で、乳児院では保育園の乳児保育の経験がそのまま活きます。児童養護施設では小中高生との関わりが加わるため、面接で「年長の子どもとどう向き合いたいか」を話せるよう準備しておくと安心です。
Q. 宿直と夜勤は何が違いますか?
宿直は主に施設に泊まり込んで見守る勤務で、仮眠時間が設けられ、宿直手当が付きます。夜勤は夜間を通して業務を行う勤務で、乳児院のように夜間も継続的な援助が必要な施設で採用されます。どちらの形か、月の回数、翌日の扱いを求人票と面接で確認してください。
Q. 児童養護施設の保育士は結婚や子育てと両立できますか?
変則勤務のため難しさはありますが、日勤中心の配置転換、時短勤務、宿直免除などの制度を設けている施設は増えています。産休・育休の取得実績と復帰後の働き方の前例を面接で確認しましょう。
保育リーチで求人を探す
転職するか迷っている段階でもOK。希望条件に合う求人や、非公開求人の有無をキャリアアドバイザーがお調べします。
無料で転職相談をする