給料・年収

保育士の処遇改善手当(処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)とは|仕組み・金額・求人票の見方

更新日:2026/09/08 読了目安:約8分 執筆:保育リーチ キャリアアドバイザー

保育士の給料に大きく関わる処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの仕組みを、制度の目的・対象・支給のされ方から整理。求人票の「処遇改善手当」の読み方、園によって手取りが変わる理由、転職時に確認すべき質問をキャリアアドバイザーが解説します。

求人票に「処遇改善手当あり」「キャリアアップ手当月額〇円」と書かれていても、それが何に基づく手当で、自分にいくら支給されるのかを正確に説明できる保育士さんは、実はそれほど多くありません。処遇改善等加算は、保育士の給料を底上げするために国が設けた仕組みですが、園がどう配分するかによって個々の手取りが変わるという、少し分かりにくい構造をしています。この記事では、処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲそれぞれの目的と仕組みを整理したうえで、求人票の読み方と、転職時に園へ確認しておきたいポイントをまとめます。制度は見直しが続いているため、金額や要件の詳細は最新の公的情報と園への確認を前提に読み進めてください。

処遇改善等加算とは何か

認可保育園や認定こども園、小規模保育園などの運営費は、国が定める「公定価格」に基づいて支払われます。処遇改善等加算は、この公定価格に上乗せする形で、保育士等の賃金改善に充てるための費用を園に支給する仕組みです。

つまり、加算は園に対して支払われ、園がそれを職員の給料や手当として配分します。国から保育士個人に直接支給されるわけではない、という点がまず押さえておきたいポイントです。

加算は目的の異なる3つの区分で運用されてきました。

区分主な目的対象
処遇改善等加算Ⅰ職員の平均経験年数に応じた賃金改善と、園全体の底上げ園の全職員
処遇改善等加算Ⅱ技能・経験を積んだ職員へのキャリアアップの仕組みづくり研修修了などの要件を満たす中堅職員
処遇改善等加算Ⅲ全職員を対象とした収入の引き上げ園の全職員(配分は園が決定)

2025年度からは、これら3区分を一本化して分かりやすくする見直しが進められています。園によっては旧区分の呼び方が残っていることもあるため、求人票や面接で「どの加算に基づく手当か」を確認する際は、この背景を知っておくと理解しやすくなります。

処遇改善等加算Ⅰ:経験年数に応じた底上げ

加算Ⅰは、園の職員の平均経験年数をもとに算定される仕組みで、基礎的な部分と、賃金改善の実施を条件とする部分で構成されています。園として職員の経験が長いほど加算率が高くなるため、ベテランが多く定着している園ほど多くの加算を受けられる傾向があります。

保育士個人から見ると、加算Ⅰは基本給や定期昇給、賞与などの形で反映されることが多く、「処遇改善手当」として独立した手当になっているとは限りません。求人票に明記されていなくても、認可施設であれば何らかの形で給与に含まれていると考えてよいでしょう。

処遇改善等加算Ⅱ:役職とキャリアアップ研修

加算Ⅱは、保育士のキャリアパスを作るために設けられた仕組みで、次のような役職と結びついています。

  • 副主任保育士・専門リーダー:おおむね経験7年以上で、保育士等キャリアアップ研修の複数分野を修了していることなどが要件の目安
  • 職務分野別リーダー:おおむね経験3年以上で、担当する分野の研修を修了していることが要件の目安

制度上は、副主任保育士・専門リーダー等に月額数万円規模、職務分野別リーダー等に月額数千円規模の賃金改善が想定されています。ただし、園が受け取る加算の額は園の規模(職員数)によって決まり、園の判断で複数の職員に分けて配分することも認められているため、実際に個人が受け取る額は園によって異なります。

キャリアアップ研修は、乳児保育、幼児教育、障害児保育、食物アレルギー対応、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援、マネジメント、保育実践の各分野に分かれており、都道府県や指定機関が実施しています。研修の修了歴は転職時にも評価されるため、修了証は大切に保管しておきましょう。

アドバイザーのひとこと 転職相談で「前の園では研修を受けさせてもらえず、リーダーにもなれなかった」という話をよく聞きます。加算Ⅱの手当を受け取るには、園が要件に合う役職を設け、研修受講を支援していることが前提です。面接では「キャリアアップ研修の受講支援はありますか」「副主任や職務分野別リーダーは何名いますか」と聞くと、園の姿勢が見えてきます。

処遇改善等加算Ⅲ:全職員を対象とした引き上げ

加算Ⅲは、保育士等の収入を引き上げる目的で、臨時的な事業として始まった賃金改善を恒久的な加算に位置づけたものです。当初は収入を一定割合引き上げることを目指して設計され、園の全職員が対象になります。

配分の仕方は園に委ねられており、全員に同額を配る園もあれば、経験や役割に応じて差をつける園もあります。求人票に「処遇改善手当」として月額で明記されている場合、加算Ⅲ分をベースにしていることが多い印象です。

求人票の「処遇改善手当」の読み方と転職時の確認ポイント

求人票で見るべき3点

求人票では、処遇改善等加算がさまざまな形で表記されます。見るべきポイントは次の3点です。

  1. 月給に含まれているか、別枠か:「月給23万円(処遇改善手当を含む)」と「月給20万円+処遇改善手当」では、基本給の額が違う
  2. 毎月支給か、一時金か:年度末や賞与時にまとめて支給する園もある。月々の手取りに影響
  3. 支給の条件:役職や研修修了が条件の手当は、入職直後には受け取れないことがある

「月給25万円〜」と書かれていても、基本給18万円+処遇改善手当4万円+固定残業代3万円という構成であれば、賞与の算定基準は基本給になります。手当の内訳が分からない場合は、労働条件通知書で確認するか、エージェント経由で園に問い合わせてください。

園によって手取りが変わる理由

同じ加算を受けている園でも、保育士の手取りに差が出るのは、次の理由からです。

  • 園が加算をどの職員にどう配分するかを決めている
  • 基本給に組み込む園と、手当として別に支給する園がある
  • 加算Ⅱの役職を何名に配置するかが園ごとに異なる
  • 認可外保育園など、加算の対象外の施設では仕組み自体がない

だからこそ、転職時には「この園では処遇改善等加算をどのように支給しているか」を具体的に確認することが大切です。処遇改善の状況は、園の運営の透明性や職員を大切にする姿勢を映す鏡でもあります。

転職時に園へ確認したい質問

面接や内定時に、次のような質問をしておくと安心です。

  • 「処遇改善等加算は、基本給・手当・一時金のどの形で支給されていますか?」
  • 「副主任保育士や職務分野別リーダーは、現在何名いらっしゃいますか?」
  • 「キャリアアップ研修は、勤務扱いで受講できますか?受講費の負担はありますか?」
  • 「経験〇年の場合、モデル年収はどのくらいになりますか?」

直接聞きにくい場合は、エージェントに確認を依頼するのがおすすめです。

よくある質問

Q. 処遇改善手当は誰でももらえますか?

加算Ⅰ・Ⅲは園の全職員が対象ですが、配分は園の判断によるため、金額は園ごとに異なります。加算Ⅱに基づく手当は、役職と研修修了などの要件を満たす職員が対象です。パートの方も対象になる場合がありますが、勤務時間に応じて按分されることがあります。

Q. 認可外保育園や企業主導型保育でも処遇改善手当はありますか?

企業主導型保育は国の助成の中に処遇改善に相当する仕組みがあります。一方、認可外保育園は公定価格の対象外のため、処遇改善等加算はありません。ただし、園が独自に手当を設けている場合はあるので、求人票の内訳を確認してください。

Q. 転職すると処遇改善手当はリセットされますか?

加算Ⅰは園の平均経験年数で決まるため、転職先の園の状況に左右されます。加算Ⅱの役職手当は、転職先で改めて役職に配置される必要があります。研修の修了歴自体は引き継がれるので、転職時に修了証を提示すれば、役職候補として評価されやすくなります。

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タグ:処遇改善 給料 キャリアアップ研修

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